写真

フェアリーフェンサー エフ
楽曲担当

EARTHBOUND PAPAS

「ファイナルファンタジー」シリーズの作曲で知られる作曲家"植松伸夫"のバンド『EARTHBOUND PAPAS (アースバウンド・パパス)』。
2011年にアルバム『Octave Theory』でデビュー後、ファンタジー・ロック・フェスや、MAGFEST(2012/ワシントン)、Oni-con(2011&2012/テキサス)、HEXXP(2012/ハワイ)への出演等、国内のみならず海外でも活動を続ける。
2013年9月1日には2ndアルバム『DANCING DAD』をリリースし、同年10月にはテキサス~LA~ハワイと計3ヶ所をまわるアメリカツアーを行う。

EARTHBOUND PAPAS 公式サイト
植松伸夫Twitter

DANCING DAD
EARTHBOUND PAPAS

発売日:2013年9月1日
価格:3,800円(税込)
CD1枚組/全10曲収録

EARTHBOUND PAPASというバンドとしての「ガラパゴス化」は
ありますか? 独自の進化を感じる部分はありますでしょうか?

■ 植 松 ■
今回フェアリーフェンサー エフの音楽も担当させていただいた"EARTHBOUND PAPAS"というバンドをやっていますが、メンバー全員が今流行っているような音楽を意識していないじゃないかと思います。
それぞれが育つ中で影響受けてきた音楽があって、僕や弘田だとハードロックやプログレですが、成田君だともう年齢が30年くらい違うので、彼の時代の音楽のエッセンスもバンドの中に入れてもらってますし、その時に流行っている音楽とは違う『自分達がカッコイイと思う音楽のエッセンスを入れている』という気はします。
自然にそうなっているというよりは、それをポリシーとしてやっているかもしれません。

■ 弘 田 ■
EARTHBOUND PAPASは植松さんの作った曲が軸になっているので、
"日本人が作った音楽"という点では世界から見ると独特なものかもしれませんね。


RPGの主人公は男、女、どちらでプレイすることが多いですか?
つける名前にこだわりがありますか?

■ 植 松 ■
まず、性別は"男"を選びます。
名前は、昔嫁さんがFFをやっている時に、突然ジュゼッペって名前をつけたのが妙に面白くて、僕も自分で遊ぶ時にいまだに"ジュゼッペ"っていう名前を付けます(笑)。


今後の日本のRPGに求めるものは?

■ 植 松 ■
いっぱいありますよー。
昔は"ジャパニーズRPG"みたいなのがあって、それらが海外で面白いと評価され、
ゲームの中でもRPGというジャンルの作品が広がっていったのに、
最近は海外で流行っているものに日本人が合わせようとしているような気がします。
あれは本当に日本人の悪い癖で、海外で流行っているものが我々の普段手にしている
ものよりも良いと思ってしまいがちな感覚が絶対あると思うんです。コンプレックスが。
ジャパニーズRPGでいうと、昔は海外に比べるもの自体がなかったから、
当時は勝手に作っていたんです。

そうして自由に作って受けたのにも関わらず、海外でそれが評価され、
海外でもRPGが続々と出始めると、今度はそれに追随しようとしているのが
すごい残念なんです。
音楽にしても、最近は日本のRPG等の音楽も、海外のハリウッド映画の音楽ばかりになってしまっていて、それは作曲家というよりもプロデューサーやディレクターが求めているのかもしれないけども、それがもったいないなぁと思うんです。

例えばドラゴンクエストの音楽、あれはやっぱり革命的だったわけですよ。
昔の1900~2000年代のクラシック音楽のスタイルをゲームに取り入れたわけですが、
RPGにああいったクラシック音楽を使ったというのは、すぎやま先生の発見なわけで、
あれは素晴らしかったです。
FFも僕が初めて担当した時は『すぎやま先生とは違うものを作れ!』という感じで
作ったわけですよ。で、僕がやったのは、自分が影響を受けた70年代のヒットポップスや
プログレやハードロックを入れたんです。
それは誰にやれって言われたわけではなくて、単純に自分が影響を受けた音楽だから素直に出したわけです。

当時の日本のRPGの音楽っていうのは、みんなそうだったと思うんですよ。
自分の影響を受けた音楽をやるしかないと。海外には比較するものがないですし。
そうして日本のRPGは独自の進化をしたにも関わらず、みんなハリウッド映画みたいな
音楽をやっているのがすごく残念。音楽だけじゃなくてです。
日本人は日本のサザンやユーミンに影響を受けた感覚をそのまま出しちゃっても
良いと思うんだけどね。

■ 弘 田 ■
それもここ10年くらい特に、という感じがすごくあって、まだ2000年代の初めの頃は、
そういう自分が影響を受けた面白い音楽をゲームの中に取り込んでいる
クリエイターの方って結構いたんだと思うんですけど、段々画一化されてきている
というのは感じますね。それが良いのか悪いのかはわからないのですが、
それに従わざるを得ないという状況というのは嫌だと思います。

例えば昔のゲームですと、音声がない分メロディーの強いものが好まれたり、
といった事もあったでしょうし、今は台詞があるゲームが多いか
らそういう(メロディーの強い音楽)が入れにくいというのもあるかもしれませんが、
それにしてももっと面白い音楽を取り入れていけるのではと。

■ 成 田 ■
特に若いクリエイターは、影響を受けた音楽というのをなかなか今出しづらい状況があると
思うんですよ。作曲をする際にも過去の良かったゲームと似たような曲調を望まれることが
多くて、結果作り手側がやりたいことが制限されちゃうというか。
ゲームの音楽を作る時に大切なところは、映像をどれだけ印象づけるか、ゲームをどれだけ
面白くするかだと思いますし、それに対して思ったことをもう少し出せる状況になれば
良いと思うんですけどね。
もっと個性を出して行けたら良いのかなと思いますが、皆さんそのバランスをとりつつ
やっている感じですね。


ファンタジー独特の表現「魔法」をもし使えるとしたら?

■ 植 松 ■
白魔導士で、癒したり治す系だね。
というのは、昔は音楽療法の道に進もうと思っていたんですよ。
結構僕は昔しんどい時やつらい時に音楽に救われたっていうのがあるので、
音楽には絶対人を救う力ってあると思うのね。ケアル、あ、ケアルガだね!


国内で好きな場所、創造意欲を掻き立てられる場所はありますか?

■ 植 松 ■
一番好きな場所なら京都かもね。京都のお寺とか見てるとホッとするね。
音楽を描く意欲が沸いてインスピレーションが与えられる場所?そんな場所があったら
教えてくれい(笑)!

■ 弘 田 ■
僕も出身が京都なので植松さんと同じく京都なのですが、京都の伏見稲荷大社という場所に子供の頃、夜に行って遊ぶみたいなことをずっとやっていてたので、そこが大好きです。
何を作っている時でも、夜の神社の暗さの中に千本鳥居の明かりが少しあって、
というイメージがずっと頭の中に残っていますね。

■ 成 田 ■
自然の多い所が好きです。いつものしがらみを考えなくてよくなる場所が良いので、
北海道とか憧れますね。

■ 植 松 ■
そうだね。
だから、いつもいる東京都内の環境じゃない所の方がやりやすいよね。

■ 弘 田 ■
ある意味非現実という。

■ 植 松 ■
そう、僕らにとっての非現実ね。


作曲家を目指したきっかけは?

■ 植 松 ■
いやぁー、単純にやりたかったからですよ。それ以外にないもん。
もう1つ偉そうなことを言うと、できそうな気がした(笑)。


応援メッセージを頂けないでしょうか?

■ 植 松 ■
こういうのをきっかけにして、日本のRPGももっと独自の進化をしてほしいと思いますね。
J-RPGはJ-RPGで独自の道を歩むきっかけになってほしいと思います。

■ 成 田 ■
自分が子供の時はまさにFFやドラクエが大ヒットした時期で、
その時は小学生だったのですが、その時初めて見たビジュアルだったり
ストーリーだったり、1作ごとに進化していくグラフィックや変わっていく
音楽のアプローチに、毎回毎回リリースされる度に常に驚きがあったんですよ。
同時に感動もあって。そういった感情を今回のフェアリーフェンサーFで
感じてくれるユーザーの方が少しでもいれば嬉しいと思います。